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代謝性骨疾患

代謝性骨疾患(Metabolic Bone Disease、以降MBDと表記する)とは、カルシウム、リン、マグネシウム、ビタミンDなどの異常(欠乏、代謝異常など)によりおこる骨の病気です。残念ながら、一度なってしまうと、完治することはありません。

これは人間でも起こりうる病気です。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が有名ですね。

カルシウムは、筋肉の収縮、神経伝達、ホルモンの放出、血液凝固、健康な骨の維持に必要です。血中のカルシウム濃度が下がってしまうと、骨・筋肉・神経・血管など全身に影響が出ます。

MBDの症状は様々です。成長不良、骨の軟化、凸凹の背中、動きにくさ、振戦、意図しないビクビクとした動き、てんかん発作、麻痺、骨折などが挙げられます。

これらの症状が出た場合には、すぐ獣医師の診察を受けましょう。完治はできませんが、治療はできます。

下の写真のようなケースは重度のものですが、少しでも自分のアオジタトカゲの背中に凹凸があるようなら、MBDを疑い即座に飼育環境を見直しましょう。

ここから下はなぜこの病気がおこるのか、と少し難しいことを説明します。なるべく簡易化しましたが、それでも読むのが面倒な方は、予防法まで飛ばしてそこだけでも読んでくださいね。

前に、紫外線ライトのところで少し説明しましたが、再度カルシウム代謝について述べます。

血中カルシウム濃度は3つの因子により制御されます。

1.腸で餌から吸収する量

2.腎臓で排泄する量

3.骨からとってくる量

1つめに書いた、腸でのカルシウムの吸収には活性型ビタミンDが必要です。活性型ビタミンDは、紫外線により作られるビタミンです。つまり、紫外線が足りないと、上手く餌からカルシウムを吸収できずにアオジタトカゲがMBDになるリスクが生じます。

さらに、活性型ビタミンDの働きを邪魔するのが、リンです。リンが多すぎると、活性化ビタミンDが働けなくなってしまいます。リンは、フルーツに多く含まれます。アオジタトカゲの餌におけるフルーツの割合は1割が理想的でしたね。リンの摂り過ぎを防ぐためにもなるべく、これを守るようにしましょう。

2つめに書いた、腎臓でのカルシウムの排泄というのは簡単に言えば、オシッコでどれだけカルシウムを出すかということです。これにはパラトルモンという名前のホルモンが関係してきます。血中のカルシウム濃度が下がると、アオジタトカゲはパラトルモンというホルモンを分泌します。パラトルモンは腎臓がオシッコでカルシウムを出してしまうのを防ぎ、反対にリンをオシッコで排泄するよう促します。パラトルモンは全体的に、血中カルシウム濃度を上げる方向に働くものだと思ってください。

3つめに書いた、骨からカルシウムをとってくるという話にもパラトルモンは関係します。パラトルモンはオシッコでカルシウムを出すのを防ぐ他にも、骨からカルシウムをとってくる働きがあります。血中にカルシウムが足りないので、骨に貯めてあるカルシウムをとってくるのです。

ここで大切なことは、血中カルシウム不足が長く続くと、それを補うためにずっと骨からカルシウムをとってくる生活が続くということです。もちろん、これが続けばアオジタトカゲの骨からはカルシウムがどんどん減り、最終的には骨がすかすかになってしまいます。

小難しい話になってしまいました。実はこれでもまだ、説明しきれていない部分があります。読者の皆様の中には説明不足だと感じられる方も多いでしょう。すみません。興味のある方は調べてみてください。幸い、カルシウム代謝は人間と爬虫類であまり違いがありませんので、情報はたくさんあるかと思います。

予防法をまとめると

1.カルシウム剤を餌に毎回、適正量添加すること

2.リンを多く含むフルーツは餌のうちの1割というのを守ること

3.紫外線ライトを使用すること

これらのたった3つです。

守りましょう!!

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