top of page

アオジタの種類

アオジタトカゲの分類は複雑で、「サンセット」「キャラメル」「アザン」などの体色を表す言葉によってなおさらわかりにくくなっています。アオジタトカゲはおおまかにオーストラリア系とインドネシア系に分けることができます。ここでは便宜上、イリアンジャヤアオジタトカゲもインドネシア系に含め、2つの系統に分けて紹介していきます。写真は全てbluetongueskinks.netから拝借したものです。

また筆者の独断と偏見により、マツカサトカゲとピグミーアオジタトカゲの説明は省きます。

インドネシア系

・アンボンアオジタトカゲ (Tiliqua gigas gigas)

オオアオジタトカゲ、ハルマヘラアオジタトカゲとも呼ばれます。日本でも多く流通していますが、インドネシア系のアオジタトカゲは残念ながらWC(Wild caught=元野生)個体が多く人に慣れていないことがあります。WC個体は人に慣れるのに時間がかかる以外にも、ノミや寄生虫などをもっていたり、輸送中の雑な扱いにより弱っていたりすることがあります。お迎え後には必ず獣医さんに連れて行きましょう。

アンボンアオジタトカゲは様々なカラーパターンがあり、緑、オレンジ、赤、灰色、黄色などの個体がいます。良く売られているアザンなんかも、アンボンアオジタトカゲの白黒個体です。

前脚も後脚も黒がちな斑模様で、指が多種よりも大きいです。体にはとても幅の狭いシマシマがあります。頭頂部は滑らかで平たく、鱗と鱗の間には黒い筋が見られます。アオジタトカゲとは言うものの、舌はとても薄い青で、先端部以外はピンク色です。

・メラウケアオジタトカゲ (Tiliqua gigas evanescens)

アオジタトカゲの中では最長で、55-80cmに達します。イリアンジャヤ市の東にあるメラウケ市から東パプアニューギニアに分布しています。日本でも流通しており、穏やかな気性です。インドネシア系のアオジタトカゲは見分けるのが難しいのですが、メラウケにはいくつかの特徴があります。

まずしっぽが長く、他のインドネシア系のアオジタトカゲよりも模様がスッキリしています(曖昧で申し訳ない)。喉にはほぼ模様がなく、くすんだ灰色である事が多いですが、色は個体によってだいぶ差がでるためこれだけでメラウケと断定はできません。前脚はまだら模様で、他のインドネシア種とは違い真っ黒ではありません。

・キメラアオジタトカゲ (Tiliqua scincoides chimaerea)

Tiliqua scincoides、とはハスオビアオジタトカゲとも呼ばれています。キメラアオジタトカゲは、このハスオビアオジタトカゲの亜種です。日本ではキメラアオジタトカゲとして流通していますが、海外ではTanimbar Island Blue Tongue Skinkとして知られています。インドネシア東部にあるタニンバル諸島に分布し、成長が他の種類と比べ遅いです。成体は50cm程度と小さめです。

銀色に近い体色をもつことが多く、他のアオジタトカゲよりも色調は薄いです。鱗はとてもつるつるしています。側頭部には薄い灰色の線条模様があり、目は焦げ茶でくりっとしています。前脚は模様がなく、頭頂部は色が濃く、鼻やあごは白いです。体は筋肉質で硬いです。キメラ、というラテン語名の通り気性は際立って荒く、暴力的です。

・ケイアオジタトカゲ (Tiliqua gigas keyensis)

ケイ諸島に分布するアオジタトカゲです。日本でもたまに販売されているのを見かけます。

緑の特徴的な体色で、茶か黒のシマシマや斑点がありますが、多種に比べあまりはっきりとした模様ではありません。黄色、オレンジ、赤などの色味もみられます。鼻の先は白いことが多く、腹部はオレンジやピンク色です。どんな体色であっても、体の側面には特徴的な網状の模様が見られます。頭は短いです。

体の作りはとても丈夫で、活発です。

・イリアンジャヤアオジタトカゲ (Tiliqua species)

この種類は、種類と言うには微妙で、正式なラテン語名で分類されていません。イリアンジャヤアオジタトカゲというのはいわば通り名です。あまりに見た目にバリエーションがありすぎるため、アオジタトカゲ界ではいまいちどう分類していいかわからないようです。未だにオーストラリア系なのかインドネシア系なのかも分かっておらず、両方の系統の特徴をもつため、一説ではヒガシアオジタとアンボンアオジタがその昔交尾してできた種類なのではないかと言われています。

野生ではイリアンジャヤ(ニューギニアの西半分と12の島からなる)に住んでいます。

分類上の謎はさておき、イリアンジャヤアオジタトカゲは日本でも多く流通しています。気性も穏やかで飼いやすいトカゲです。 50-60cmに成長し、5-15匹のベビーを産みます。イリアンジャヤアオジタトカゲのベビーは頭がとっても大きく、主観的な感想になってしまいますが、とても可愛いです。また、どんな種類と掛けあわせても、ベビーはイリアンジャヤアオジタトカゲの見た目になります。体色は様々な濃さの茶、黄色、赤からなります。腹部は明るい赤であることが多いです。写真を載せますが、イリアンジャヤアオジタトカゲは個体によって雰囲気が異なるので、あまり参考にはならないかもしれないです。ただ、キタアオジタトカゲと並んで、美しい配色のアオジタトカゲだと言えるでしょう。

オーストラリア系

・キタアオジタトカゲ ( Tiliqua scincoides intermedia)

Tiliqua scincoides、とはハスオビアオジタトカゲとも呼ばれています。キタアオジタトカゲはハスオビアオジタトカゲの亜種です。オーストラリア北部原産。野生では林や茂みに住み、小動物や地上に住む鳥、死肉、植物などを食べます。

最も繁殖しやすいと言われ、日本でも数多く流通している種類です。多い時には25匹ものベビーを産みます。出産時期はオーストラリアでは12月から1月ですが、日本では6月から7月となります。人にはとても慣れやすく、気性も穏やかです。

見た目は他の種類よりも大きく、60cmを超えます。明確な基準はないものの体重も重いです。前脚には模様がなく、後ろ脚にまだら模様があります。しっぽは太く短めで、体の側面に明るいシマシマがあるのが特徴です。

・ニシアオジタトカゲ (Tiliqua occipitalis)

日本で見ることは残念ながらほとんどないでしょう。41-55cmの体長で、3-10匹の大きめのベビーを産みます。前脚は模様がなく、後ろ脚はまだら模様があります。幅の広い黒とクリーム色のシマシマと側頭部の黒い線条模様、黒い鼻が特徴です。しっぽは短めです。

・ヒガシアオジタトカゲ (Tiliqua scincoides scincoides)

Tiliqua scincoides、とはハスオビアオジタトカゲとも呼ばれています。ヒガシアオジタトカゲはハスオビアオジタトカゲの亜種です。オーストラリアの北部から東部にかけて生息します。50cm程度の長さに成長します。夏季に5-17匹のベビーを産みます。

見た目はイリアンジャヤアオジタトカゲにも似ており、様々なバリエーションがあります。特徴的といえるのは、前脚に模様がないこと、縦方向の薄いシマシマがあること、細長い頭をもつこと、側頭部に黒い線条模様をもつこと、です。しっぽは他のオーストラリア系の種類と同様、太く短いです。なかなか見た目からの判別が難しい種類です。

・チュウオウアオジタトカゲ (Tiliqua multifasciata)

Multifasciataの名の通り、チュウオウアオジタトカゲはたくさんのシマシマをもちます。大きな頭、丸い体、短いしっぽ、と完璧なつちのこ体型であり、体には幅の狭いオレンジのシマシマが多数あります。長さは35-50cmと短めです。側頭部の黒い線条模様も非常にはっきりしており、とてもユニークな種類といえるでしょう。多くのアオジタトカゲ愛好者の憧れの的ではあるものの、日本で見ることはほぼなく、とても高価です。

野生では夏季に2-7匹のベビーを産みます。基本的には昼行性ですが、夏季のみ夜にも活動的になります。面白いことに、チュウオウアオジタトカゲは舌の動きが他のアオジタトカゲと異なり、蛇のように上下に動かしたり、チロチロと素早く出し入れしたりすることができます。

・ブロッチドアオジタトカゲ (Tiliqua nigrolutea)

ミナミアオジタトカゲとしても知られます。タスマニアの北部や南東オーストラリアに分布します。日本での流通はほとんどないです。秋に2-12匹のベビーを産みます。

ブロッチドアオジタトカゲはnigroluteaのラテン語名の通り、黒と黄色が主な体色です。体にはシマシマではなく、ブロッチといって大きめの斑点があります。とても太いしっぽが特徴です。45-55cm程度の大きさになります。ブロッチドアオジタトカゲにはハイランド(アルパイン)とローランド、という2つの体色パターンがあります。ハイランドは全体に黄色味がかっていて、ローランドよりも大きく、オレンジやピンクなどの明るい色のブロッチをもち、脚にまだら模様があります。ローランドは濃い茶、灰色などのブロッチをもちます。

目次

bottom of page