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アオジタの給餌

・ 餌

アオジタトカゲは雑食性の動物です。アメリカの飼育サイトではよく50%野菜、40%肉や昆虫、10%フルーツの餌が推奨されています。

餌には必ずカルシウム剤をふりかけましょう。下の写真のようなカルシウム剤は、爬虫類ショップや通販で簡単に手に入ります。おすすめは、リンやビタミンDが添加されていないタイプのものです。

これがないとくる病になります。一度なってしまうと治らない病気ですので、必ず添加してください。量は軽く粉がかかる程度で大丈夫です。

餌のバランスをとるのが難しい場合はビタミン剤も使用しましょう。キャットフードやドッグフードを与えている場合は、ビタミンが過剰になってしまうため、すでに添加されていないか確認してから使用してください。

野菜は水菜、小松菜、ケール、カブの葉、白菜(加熱)などをバランス良く与えましょう。ほうれん草、たまねぎ、ナス、アボカドは絶対にあげないでください。アオジタトカゲにとっては毒になります。きのこについては様々な見解がありますが、種類も多すぎて何が良くて何が悪いのかあまりはっきりしないため、避けたほうが無難です。

冷凍の野菜はとても便利ですが、ビタミンB1(チアミン)が冷凍することにより失われてしまいます。チアミンの不足は代謝障害や中枢神経障害をおこし、カルシウム不足に似た症状をひきおこします。できるだけ生野菜も与えましょう。野菜は必ず洗ってから与えてください。

アオジタトカゲはそれぞれ食の好みがあり、野菜は好まないことが多いです。

野菜嫌いのアオジタトカゲを飼っている皆さんに、いくつか紹介したい裏ワザがあります。

1.野菜は食べやすいように細かく切る

2.さつまいもやカボチャなどの固いものは細かく切った後、レンジでチンしてつぶす

3.ミニトマトは中の種をとり、皮をむく

4.コーンは入れない(そのまま出てくるので)

5.どうしても食べないなら、パックマンフード(元々はカエル用に作られた魚粉ベースの粉のフードです)を加えて練る

特に5番のパックマンフードは、野菜の青臭さが消える程度の量を加えて練りあげるととても良く食べてもらえるのでおすすめです。しかし甘党のアオジタトカゲの場合は、パックマンフードよりもレパシーのフルーティーな粉フードの方が好むそうです。

筆者の家では、下の写真のような材料を使っています。

1枚目の写真では、小松菜、バターナッツ(加熱してつぶし済み)、ミニトマト、リザードフードを使用しています。

2枚目ではケール、水菜、白菜(加熱)、ミニトマト、カボチャ(加熱してつぶし済み)、フトアゴヒゲトカゲ用フードを使用しています。

この材料に、カルシウム剤、レプラーゼ(爬虫類用の乳酸菌です、おまじない的に)、パックマンフードを混ぜていきます。

すると、このような感じになります。

筆者の家では、週に2回このような餌を与えています。とても喜んで食べてくれます。

フルーツはりんご、バナナ、いちご、ベリー類、スイカ、メロン、マンゴー、キウイなど様々なものを与えましょう。柑橘類は酸が強いので、あげる際は少量にとどめましょう。フルーツはリンが多いため、10%の割合を守り与え過ぎに注意しましょう。フルーツも野菜と同様、洗ってからあげましょう。野菜やフルーツについて詳しく知りたい方は、別項目の”詳しい栄養価”をお読みください。

ちなみにアオジタトカゲはバナナが好物ですが少しでも熟れてしまうと、食べなくなります。

肉は高カロリーで肥満のもとになりやすいため、アダルト個体には肉の割合を少し減らし代わりに市販のリザードフードを与えると肥満を防ぐことができます。リザードフード、フトアゴヒゲ用フード、イグアナフード、リクガメ用フード、などを使用することができます。フードを使用する時は、お湯か水でふやかしてから与え、必ずフードのみでなく、生野菜とカルシウム剤を加えてあげましょう。ちなみにフード嫌いな個体は、野菜ジュースでフードをふやかすとよく食べてくれる、という話も耳にします。

肉類は加熱済みの鶏肉、牛肉、色々な種類の幼虫(ミルワームやジャイアントミルワームや蚕が一般的です)、昆虫(コオロギ、デュビアなど)、マウス、少量のキャットフードを与えましょう。アオジタトカゲは自然界では死肉を食べます。しかし自然界に存在する死肉と、スーパーに並べられた加工済みの生肉では細菌叢も汚染度合いも異なるため、生肉を与えることは控えましょう。

マウスは脂肪が多いので、たまにあげるおやつ程度に抑えましょう。マウスには毛の生えていないピンクマウスと、毛の生えたファジーマウス、それより少し大きくなったホッパーがあります。ファジーマウスやホッパーを生きたままあげるのは、アオジタトカゲが1才をこえてからか、マウスと戦える十分な大きさになってからにしましょう。大人のマウスの反撃にあい怪我をする可能性も考え、慎重に給餌してください。冷凍のマウスの場合は寄生虫の心配もなく、反撃される可能性もなくより安全です。

ワームは、健康的な順に並べると、蚕→バターワーム→ワックスワーム→スーパーワーム→ミルワームとなります。この部分は海外のサイトからの直訳になるため、聞き覚えのないワームも含まれているかもしれません。筆者はワームが苦手なので、あまりこの分野は調べることができませんでした。栄養バランスの表は”詳しい栄養価”の項目にありますが、より詳しく知りたい方は是非調べてみてください。日本の爬虫類ショップではしばしばミルワーム、ジャイアントミルワーム、ハニーワーム、蚕あたりをみます。得意な方は、是非あげてみましょう。ハニーワームは脂肪が多く、嗜好性が高いため、少量にとどめましょう。

卵も与えて良いですが、嗜好性が高いのでご褒美として使いましょう。火を通す際は、コレステロールの酸化を防ぐために弱火で火を通してください。

キャットフードやドッグフード(ウェットタイプのもの)は便利ですが、なるべく100%お肉のものを選びましょう。ビタミンやリンなどが付加されているものは、アオジタトカゲには過剰となります。また、嗜好性が高いためそればかり与えているとリザードフードや野菜を食べなくなります。慎重に与えましょう。

筆者のアオジタトカゲには、ササミのみの猫缶を野菜と混ぜて与えています。

与える餌は飼い主間で意見が分かれる話題です。もちろん、栄養のバランスさえ保てていれば、あとは飼い主の用意しやすいもの、そのアオジタトカゲの好きな食べ物をあげれば良いのです。しかし中には極端な食生活をアオジタトカゲに強いる飼育者もいます。肉のみ、野菜のみ、フルーツのみ、などは全て偏った食生活です。◯◯だけ与えて長年飼ってきたから大丈夫!には惑わされないでください。度々書いていますが、アオジタトカゲはとてつもなく丈夫な生き物です。間違った飼育にも耐えて生き永らえてしまいます。必ず栄養バランスの良い食事を与え、長く健康な飼育を目指しましょう。

ここまで読むと、アオジタトカゲの餌作りは大変に感じるでしょう。しかし、1度の給餌で完璧な栄養バランスを目指さなくても、野菜とお肉の日→フルーツとフードの日、のように長期的にバランスがとれていれば大丈夫です。

・ 餌やり

餌皿はなんでも大丈夫です。下の写真のように、ビンの蓋や小皿などで十分です。

餌をやる時間帯には気をつけてください。できるだけ早い時間帯の方が、アオジタトカゲがバスキングをし、餌を消化する時間を確保できるので良いです。生活の都合上、夕方にしか給餌ができない場合も、なるべく早い時間に餌を与えるかライトなどで生活リズムを少し遅らせて調整しましょう。餌を食べたあとは必ずバスキングができる環境を整えてあげましょう。

もう1つ、餌をやる場所にも気を配りましょう。餌のつきやすい床材(粒状のものなど)の上での給餌は誤飲、腸閉塞につながるため避けましょう。下の写真のように、餌をあげるための平らな場所があると好ましいです。

アオジタトカゲの中には餌を入れた後、すぐに走って食べにくる個体もいれば、あまり気づかない個体もいます。一気に全部食べる個体もいれば、ゆっくり少しづつ食べる個体もいます。もし、ずっと餌の存在に気づかない、または餌を食べ始める様子がなければ口の先端に少し餌をつけてあげて様子をみましょう。どうしても食べない場合は給餌の間隔が短すぎる、餌が美味しくない(好みでない)、体調が悪い、温度が低すぎるなどの場合が考えられます。

餌はケージの涼しい場所に置き、数時間後には取り除きましょう。特に夕方に餌を与える場合には、夜寝る前に必ず取り除き、朝古い餌をアオジタトカゲが食べないようにしましょう。生き餌の場合は数時間後に残していても、見つけた時に食べるように入れておいて大丈夫です。マウスなどの大きい生き餌の場合はアオジタトカゲの安全を考え、食べなければ一旦取り出しましょう。

・ 餌やりの頻度と量

餌やりの頻度と量の目安の表を下に載せます。私達哺乳類と違い、大人のアオジタトカゲは毎日餌を必要としません。ある程度間隔をあけて給餌したほうが、食欲も増加しますし、肥満も防ぐことが出来ます。3ヶ月未満のアオジタトカゲではその限りではありませんので、ご注意ください。

餌やりの頻度の調整は難しいですが、簡単な目安は個体の食欲です。あまり食べる気がないそぶりを見せたら、少し餌の頻度を抑える良いタイミングです。また、体重を定期的に測ることも良い目安となります。急激に体重が増えた場合は少し餌の頻度を抑えましょう。

・ 肥満

アオジタトカゲは簡単に肥満になります。怖いことに、アオジタトカゲは肥満が体表から見てわかりにくい体の構造をしています。人間やほとんどの哺乳類は太れば明らかに体が大きくなります。アオジタトカゲの場合、太っても体の内側に脂肪がつき、外からは分かりません。

詳しく説明すると、アオジタトカゲは肺の構造が原始的であり主に前方1/3でガス交換(呼吸)をし、後方の肺は簡単につぶれ他の臓器にスペースを譲れるようになっています。そのため脂肪がついても肺がその分つぶれ一見外からは肥満がわかりません。肥満を防ぐためにも、きちんと餌やり頻度を守ることや体重の測定を欠かさないことが大切です

とはいえ、過度の肥満の場合は体表から見ても分かる徴候がでます。肥満の一つの目安は体に対する頭の大きさです。あなたのアオジタトカゲが小さな頭に、大きな体を持っている場合、肥満の可能性があります。また、後肢に近い下腹部が膨れている場合も、肥満の可能性があります。肥満だと思ったら、餌の量と頻度を抑えましょう。急なダイエットはもちろん栄養不足にもつながりますので、バランスの良い食事を一週間に2-3度、少量与えるようにしましょう。​

・ 痩せ

こちらも明確な基準はありませんが、見た目が明らかに痩せすぎている場合、餌の肉類の割合を少し増やしましょう。特に腰骨が体表から見え、体の輪郭が直線的な場合はアオジタトカゲが痩せすぎている可能性が高いです。餌のバランスを肉類重視にし、様子をみましょう。もちろん、何か異常があればすぐに獣医の診察を受けましょう。

・ 強制給餌

アオジタトカゲが食べてくれない時、誰しもが強制給餌を考えます。よっぽどの経験があり、自信があるのでなければ絶対にやめましょう。アオジタトカゲの準備が整っていないのに強制的に給餌をするのは自殺行為です。気管に食べ物が入り窒息してまったり、感染症がおきたりします。

強制給餌ではなくても、例えば流動性の高い生卵のはいったお皿を傾けるなどの行為は危険なのでやめましょう。自然界のアオジタトカゲは冬の間何ヶ月も食べないで過ごすことがあります。拒食よりも、強制給餌のほうがリスクが高いので、気長に待ちましょう。

もちろん、異常を感じたらすぐに獣医の診察を受けましょう。

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