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人畜共通感染症

自分の飼っている個体が汚い!と考えるのは嫌なことです。

しかし、動物は人間にも感染する病原体を持っている可能性があります。

アオジタトカゲの”ばいきん”を恐れる必要はありませんが、知っていて損はありません。

爬虫類を飼うことによって人間が病気をもらう可能性というのは一般的に低いです。きちんとした衛生観念で飼育していれば、ほぼ病気になることはありません。

しかし、免疫力が弱い人の場合はこれは別です。10歳以下の子供や高齢者、妊婦、免疫抑制剤を服用中の方はより感染症リスクが高くなります。

いくつか代表的なzoonosis(人畜共通感染症)を紹介します。予防方法は最後にあるので、興味のない方はそこだけでも読んでください。

サルモネラ:

有名なバクテリアです。聡明な読者の皆さんは一度は名前を聞いたことがあるでしょう。余談ですが1975年にFDAによって体高4cm以下の亀の販売が禁止されたのも、このサルモネラ菌が原因でした。この細菌は1度の糞便培養のみでは診断しにくいことが特徴です。そのため動物を見たら、サルモネラ菌を持っていると思って接するというのが鉄則になります。

臨床症状: 

爬虫類……通常は無症状、下痢の原因となることもある

人間……下痢、悪心、嘔吐、腹痛

伝染の形式:

糞の経口摂取、汚染物質との接触

エロモナス:

こちらも有名な細菌です。淡水系の常在菌で、人間の集団感染事例はほとんどありません。免疫力が低下している方は注意が必要です。

臨床症状:

爬虫類……潰瘍性口内炎、敗血症、貧血、肺炎、出血

人間……下痢、発熱、腹痛、嘔吐、傷口の炎症、蜂窩織炎

伝染の形式:

汚染された水と傷の接触、汚染された水または組織の誤飲、水棲動物による傷

カンピロバクター:

こちらは一般に動物の体内にいる常在菌です。食中毒の原因菌でもあります。

臨床症状:

爬虫類……通常は無症状

人間……下痢、腹痛、発熱、筋痙攣、敗血症、心内膜炎、髄膜炎

伝染形式:

糞の経口摂取、汚染物質との接触

マイコバクテリウム:

これもメジャーな細菌ですね。ヒト型結核菌も、この属の細菌です。近年、牛型結核菌(M. bovis)が人畜共通感染症として注目されていますが、爬虫類においてはあまり報告例がありません。特徴的な病変を示すので、念のため載せておきます。

臨床症状:

爬虫類……肉芽腫性病変、潰瘍性口内炎

人間……傷の周囲の肉芽腫性病変、免疫不全の場合より重篤な二次障害あり

伝染の形式:

爬虫類による傷、糞との接触、汚染物質との接触、吸入

真菌(接合菌症):

接合菌症は、何種類もある真菌の内のいずれかによる感染症のことです。真菌は自然界に広く分布するため、免疫低下時でなければさほど心配する必要はありません。

臨床症状:

爬虫類……胃腸症状、上気道感染症、肺炎、肉芽腫性及び潰瘍性の傷

人間……上気道感染症、結膜炎、胃炎、腸炎、皮膚感染症

伝染形式:

吸入、経口摂取、接種、芽胞の皮膚への付着

感染予防方法(家編)

・CB個体を優先する

CB個体とは、人間の手によって繁殖された個体のことです。野生で繁殖した個体のことをWC個体と呼びますが、WC個体はより病原体を運ぶリスクが高く、また運搬時の環境からもキャリアとなる個体が多いと言われています。

・お迎え後には獣医師の診察を

お迎え直後でなくても構いませんが、生体が少し落ち着いたタイミングで獣医師の診察を受けましょう。その際に糞を持参すると、便検査をしてもらえます。

お迎え後以外にも、生体に過度なストレスを与える恐れがなければ、定期的に検査を受けましょう。

・手洗い!

とにかく自分の飼育個体を触る前と後には手洗いをしましょう。ぬるま湯と石鹸で洗うだけで、だいぶ予防が出来ます。

・人間用と動物用を分ける

基本的に、自分のアオジタトカゲをキッチンやお風呂場にいれるのはやめましょう。餌皿を洗うときや温浴時にも洗い場や浴槽を使うのは避けましょう。どうしても使用しなければいけない場合には、そのあときちんと掃除や消毒を行いましょう。

また、アオジタトカゲを触りながらものを食べるというのも辞めておきましょう。

・病気の個体への接し方

病気の個体がいたら、まずは隔離しましょう。なるべく他の生体から隔離することが肝心です。

また、健康な個体を先に世話し最後に病気の個体と接するようにしましょう。その前後に手洗いは忘れずに行いましょう。

・消毒

生体のケージ内や周辺は常に清潔に保ちましょう。残した餌や糞を何日も放置するのはご法度です。

また、ケージの外で生体が糞をしてしまった場合には速やかに取り除き、可能であれば洗濯またはアルコール除菌を行いましょう。

特に噛まれた場合や、爪でひっかき傷ができた場合は、ぬるま湯と石鹸でよく洗った後に消毒を行いましょう。必要であれば、医療機関での診察を受けてください。

・血液

生体が怪我をしている場合、絶対に血液には触れないようにビニール手袋などを使用しましょう。

・アレルギー

動物の糞尿や床材はアレルゲンとなります。糞は乾燥して空気中に舞わないように、取り除いた後は密封したビニール袋に入れましょう。床材の掃除をする際には、先に軽く霧吹きで湿らせておくと粉塵が舞いにくくなります。

目次

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