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アオジタの飼育環境

・ 場所

ケージを置く場所は必ず室内にしましょう。日本でアオジタトカゲを外で飼うのは諦めてください。アオジタトカゲはのほほんとした個体が多いので、音や人通りを気にする必要はほぼありません。お迎え直後は、少し暗く、静かにしてあげると良い程度です。筆者は個人的に、アオジタトカゲは良く人に慣れる動物だと思っていますので、寝室や居間にケージを設置してコミュニケーションを図りやすくすることを推奨します。写真の、上にあるケージが我が家のアオジタトカゲのものです。一つ目の写真のケージが小さくなってしまったため、途中から奥行きのあるタイプに変えました。

・ 同居について

アオジタトカゲを一匹飼うと、必ずもう一匹増やしたくなります。

ここで大切になるのがアオジタトカゲは同居できない生き物だという認識です。アオジタトカゲは自然界では完全に一匹で行動します。一時的にも、同じケージで複数のアオジタトカゲを飼育することは避けてください。

経験のある飼育者で、アオジタトカゲ同士や他のトカゲとの同居をしている方もいます。しかし、アオジタトカゲの喧嘩では最悪の場合片方が致命傷を負い、いつその喧嘩がおこるかは人間には予測できません。必ずそのリスクを理解して、同居は避けましょう。

・ サイズ

大人のアオジタトカゲには 150-225Lのケージが必要です。90*45のケージで大体182Lですので、最低でも90cmのケージを用意しましょう。小さい個体をお迎えする場合は、60cmケージで飼育を始めることも可能ですが、アオジタトカゲは成長が速い生き物なので最初から90cm以上のケージを用意するほうが無駄がないでしょう。中古やネットストアで安く買うことも出来ますので、サイズは確保しましょう。下の写真くらい、生体に対して大きさがあるケージが好ましいですね。

アオジタトカゲの場合大切なのは床面積であり、高さは30cmもあれば十分でしょう。アクア水槽を使用することも可能ですが、できれば縦に狭い空間よりも正方形に近い空間を準備してあげましょう。ケージは大きければ大きい程良いですが、ケージが大きければその分冬の保温は難しくなります。

・ケージ

十分な大きさであり、アオジタトカゲが逃げる隙間がなければ、ガラスでも木製の自作ケージでも大丈夫です。衣装ケースを使用することも可能ですがその場合はできるだけ透明性の高いものを選び、アオジタトカゲが外をみられるように工夫しましょう。ネットケージ(全方位網で出来たケージ)は保温性に欠けるのでアオジタトカゲの飼育には使用しない方が無難です。また前に扉があるタイプのケージと、上から手をいれる水槽がありますが、人慣れしていない個体では前開きのタイプのものをおすすめします。

・ 蓋

アオジタトカゲは木に登るトカゲではないですが、個体によってはケージを登って脱走します。また冬には保温のために必要ですので、蓋は用意しておきましょう。ケージにランプをつけるために蓋をすることが難しい場合は、爬虫類用の網蓋が売られているのでそちらを使用しましょう。蓋があれば、万が一ライトが落ちてしまったり、割れてしまった時に生体を保護することができます。

・ バスキングスポットとインテリア

バスキングとは、爬虫類が太陽の光を浴びて体を温める行為のことを言います。アオジタトカゲのケージには、暖かいバスキングスポットと涼しい場所の両方がなくてはいけません。トカゲは温まった石の上でお腹を温めるので、バスキングスポットには下の写真のような感じで、アオジタトカゲの全身が乗るくらいの大きさの平たい石を置いてあげましょう。適正温度については後ほど扱います。

涼しい場所には、アオジタトカゲが隠れられるシェルターをおいてあげましょう。これは半分に切った丸太やティッシュ箱など、安全な素材であれば何でも良いです。

インテリアのポイントは以下の通りです。

1.アオジタトカゲを傷つける可能性のあるものを置かない(例:鋭い角のある石や流木など。アオジタトカゲは重い物の下に鼻を突っ込んで潜り込む習性があります。ハマって抜け出せなくなる可能性のあるものや、ガラス水槽を割る可能性のあるものは避けましょう。)

2.脱出の手助けになるものを置かない(例:高さのある流木)

3.清潔を保ちやすいシンプルなものを置く(悪い例:外から持ってきたもの。ノミやダニがついてきてしまいます。)

ちなみに経験上、冬季のアオジタトカゲが一番好むインテリアはもふもふの靴下です。

・ 温度管理

アオジタトカゲの飼育には温度勾配のあるケージが必要です。暖かい場所、中間の場所、涼しい場所を用意してあげましょう。昼間の涼しい場所の温度は20-28度の間に保ち、バスキングスポットは35-38度に保ちます。夜間は15-20度に温度を保ちましょう。アオジタトカゲの飼育では温度が低すぎると、消化不良などの問題がおき、高すぎると熱中症になるため、常識的な範囲で保温・保冷をしましょう。また、窓から入る日差しなどによって部屋自体の温度も上下する可能性を考え、ゆとりのある温度管理をしましょう。

温度を上げるためにはバスキングライトと保温球を使用します。この2つの違いは、バスキングライトは集光性であり狭い範囲を温めるのに対し、保温球は散光性であり広くケージ内の空気を温めるところにあります。バスキングライトは季節に関わらず必要なのに対し、保温球は寒い時期のみの使用に限定されます。保温球には昼用のひよこ電球のようなものや、昼夜兼用のインフラレッドヒートランプのようなものがあります。飼育環境によって適切なものを選びましょう。

冬期に保温球のみでは温度が上がりきらない場合は下の写真にあるようなプレートヒーターを使用しましょう。プレートヒーターは意外に温度が高くなるので必ずケージの下に置き、ケージの中にはいれないようにしましょう。しつこいようですが、ケージ内の温度には常に気を配ってください。

他にもケージを置く場所を工夫したり、ケージ全体を保温性のある素材で覆うことによって温度を保つことができます。筆者は安く温室を作りたかったので、ビニールハウス用のビニールと、引っ越し用のプチプチシートを貼りあわせて、ケージのおいてある棚にかぶせました。それでも十分効果的です。断熱材でケージを覆う場合は、必ずバスキングライトに近づけすぎない様に気をつけてください。

夏場の暑い時期はケージ内の温度が上がり過ぎないように注意してください。いくら暖かいところが好きなアオジタトカゲでも、密閉度が高いケージで温度が上がり過ぎると体調を崩してしまいます。空気の循環を心がけ、夏場は冷房してあげましょう。

ペット用に販売されているファンの使用については注意が必要です。アオジタトカゲは汗をかかないため、風にあたっても人間ほど気化熱は発生せず、涼しくは感じません。むしろ強すぎる風を直接当てると個体の健康を損ねる可能性もあります。ファンの使用は空気の循環を目的としてのみ行い、必ずアオジタトカゲに風が直接当たらないことを確認して設置しましょう。

冷感アルミプレートの使用も有効ですが、中にはお腹を冷やしすぎてしまい下痢をする個体もいるため、導入の際には注意して観察しましょう。筆者の家では夏場は常に冷房を28度に設定していますが、それでもたまにアルミプレートの上で涼んでいます。

・ 温度をモニターするための道具

ケージ内には温湿度計を常に置き観察しましょう。アオジタトカゲは湿度は必要ないですが、温度は敏感にチェックしなくてはいけません。毎日観察して、適正な温度を保つようにしてください。

さらに温度を測る道具としてレーザ温度ガンテスターがおすすめです。これを使うと手早く、ケージの各所の温度を知ることが出来ます。何個も温度計を設置するより楽です。

そして最も確実なのはサーモスタットの導入でしょう。サーモスタットはケージ内がある一定の温度に達するとライトのスイッチを自動で切ったりつけたりすることが出来ます。ヒーターと一体型のものや、つなぐことのできるワット数が決まっているものがあるので、自分の飼育スタイルにあったものを選びましょう。

色々と書きましたが、温度管理には最低限、温湿度計と自分の観察眼があれば十分です。

・ 湿度、水入れ

アオジタトカゲは湿度を必要としません。25-50%が適正な湿度だと言われています。ケージ内が蒸れている場合は直ちに換気してください。過度の湿気は簡単に床材を腐らせ、アオジタトカゲの鱗の病気に発展します。床材を故意に湿らすことは絶対にやめましょう。

多湿な日本の環境では特に、アオジタトカゲが完全にひたれるような水入れがあればそれで十分な湿度が確保できるでしょう。湿気が低すぎる場合は、鱗が荒くひび割れたような手触りになります。その場合は部屋に加湿器を設置しましょう。

水入れは必ずアオジタトカゲの全身が入るものを選んでください。脱皮と爪切り、の項目でも出てきますが、アオジタトカゲは脱皮前に水入れに浸かることで脱皮の準備をします。小さな水入れだと、脱皮不全がおきてしまう可能性があります。

また、水入れは毎日新鮮な水に変えるようにしてください。水道水で十分です。

・ UV(紫外線)ライト

悲しいことに、アオジタトカゲに紫外線は必要ないという噂をよく耳にします。これについては諸説ありますが、昼行性のトカゲで紫外線を必要としないものが果たして存在するのか疑問に感じます。

そもそもなぜ爬虫類が紫外線を必要とするのかというと、紫外線はカルシウム代謝と密な関係があるからです。カルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要となります。このビタミンDは皮膚で生合成されるものであり、これは皮膚が紫外線に当たることにより可能となります。

紫外線が不足すると、カルシウムが吸収できなくなり、くる病になります。いったんくる病になってしまった個体は、残念ながら治ることはありません。

何年も紫外線ライトなしで飼育をしてきた、という飼育者はたくさんいます。しかしこれは、アオジタトカゲがとてつもなく丈夫な種類のトカゲであるため、紫外線の不足にも耐えて生き永らえているにすぎません。「窓辺で飼ってるから大丈夫」も通用しません。紫外線はガラスによって遮られてしまいます。直射日光に当てない限り、カルシウム代謝にはつながりません。

紫外線不足で病気になることはあっても、紫外線ライトによって病気になることはありません。どうか、数千円の負担を惜しまずにUVライトをつけてあげてください。

では、具体的にどんな紫外線ライトがアオジタトカゲには適しているのでしょうか。紫外線は以下のように3つの波長に分けることが出来ます。

UVA…320-400nmの可視光。接触、繁殖などの本能的な行動を促進し、生体の体内時計を整えます。

UVB…290-320nmの不可視光線。カルシウム代謝に必要。

UVC…290-260nmの不可視光線。これが日焼けや皮膚ガンに関係します。いわゆる有害な紫外線です。

アオジタトカゲが必要なのはUVAとUVBです。UVライトには様々なワット数のものがありますが、UVAとUVBさえ含まれていれば、強すぎないものの方がよいでしょう。例えば砂漠の生き物用のUVライトでは強すぎます。UVライトは光っていても、紫外線量が時間がたつごとに減っていくため、購入時に説明書を確認し交換時期を守りましょう。一般的には半年から一年で交換すると良いと言われています。

そして、UVライトも本物の太陽には叶いません。できれば週に1度は本物の太陽にあててあげるとさらによいでしょう。できれば下の写真よりもう少し広い臨時のケージで日干ししてあげると良いです。

UVライトはケージの中に向けて設置しますが、その際にライトを生体の目に近づけすぎないように注意しましょう。常にUVライトの光が目に直撃している状態ですと、悪影響を及ぼします。

繰り返しにはなりますが、紫外線については飼育者によって様々な意見があります。ここに書かれていることも絶対ではなくあくまでも一意見です。是非ご自分でも調べてみて、納得のいく飼い方を見つけてください。

・ 床材

こちらも、飼育者の間で様々な意見が飛び交う話題です。

一般的にはパームマット、ハスクチップ、土、敷砂、人工芝、ペットシーツなどがよく使用されています。それぞれに利点と欠点があり、一概に何が良いとは言えません。

危険な床材さえ避ければ、後は飼い主の自由ですので、まずは危険な床材について述べます。

砂利やクルミの殻でできた砂は、消化管に詰まり死につながる危険性があります。アオジタトカゲは食べるときに床材の上によく食べ物をこぼします。その食べ物に砂がついた状態で飲み込んでしまうと、最悪腸閉塞をおこします。砂利やウォールナッツサンドに限らず、もし排泄物の中にたくさんの床材が混じっていたら、早急に床材を変えるようにしましょう。

杉や松などの芳香植物でできた床材は絶対に避けましょう。これらにはフェノールという物質が含まれ、アオジタトカゲにとっては毒となります。呼吸器障害を引き起こすため、使用しないでください。

新聞紙もたまに使ってしまいがちですがやめましょう。新聞紙のインクは簡単にアオジタトカゲの手足の裏やお腹にうつってしまい、毒性があると言われています。一時的な使用は問題ありませんが、長期に渡り使用するのは避けましょう。

最後に、そこらへんからとってきた土も使用しないでください。ペット用に販売されている赤玉土などとは違い、そこらへんの土には様々な菌や寄生虫、ノミ、ダニなどが潜んでいます。絶対にやめましょう。

床材を決める際に最も重要な点は清潔です。 良く潜ってしまう個体の場合、パームマットや土では排泄物の除去が難しく衛生が保ちにくいことがあります。ペットシーツも一見とても良いのですが、ペットシーツの下に潜る個体も多く、結局お掃除しづらいことも多々あります。下の画像はマーシャルさん(知り合いの方のアオジタトカゲです)がペットシーツに潜っている様子を写したものです。

人間の手間は若干増えますが、アオジタトカゲは潜ることが好きな動物なので、ハスクチップの人気は高いようです。こちらも、マーシャルさんがハスクチップに潜っているものをお借りしました。可愛いですね。

私個人は、コーンクリーンベッド(下の画像参照)という消化できるとうもろこしで出来た砂を使っています。アオジタトカゲが潜ってうんちをしても、砂がくっついて固まるので衛生的で気に入っています。ちなみに消化できると言われている商品ではありますが、一応餌はこの床材のないところで食べてもらっています。しかしこれもあくまでも一意見です。個体によって適した床材は異なるので、飼い主目線で良いものを選んであげましょう。

床材は毎日排泄物が落ちていないか確認し、排泄物の周りの床材ごと取り除きましょう。床材はたまにかき混ぜ、餌の残りが腐っていないか確認し、一ヶ月に一度総取り替えをすると清潔が保てます。

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